私、個人事業主です!

 唐突ですが、私、つまり林は、個人事業主です!
 まあ私に限らず、士業、つまり弁護士、公認会計士、不動産鑑定士、社会保険労務士、司法書士、行政書士、などなど、国家資格等で飯を食う専門職種については、かつては皆さん個人事業主だったものです。今は耳にかなり馴染んできた「税理士法人」、「行政書士法人」の類は、以前は設立が認められていませんでした。規制緩和の波の中で、色んな士業について同様の「○○士法人」の設立が認められるようになってきまして、士業は必ずしも個人事業主とは限らなくなりました。

 誤解を防ぐために少し書きますが、何も税理士は会社を起こしてはダメだったということではありません。社長になってはいけないということでもない。ただ、税理士資格を要する独占業務(過去記事参照)を、法人として受任することができなかったのです。株主でも社長でも会社員でも構いませんが、有資格者として行う業務はあくまで個人(個人事業主)で受けるんですよ、売上は法人のものではなく個人に帰属しますよ、ということだったのです(すみません、法律的にはもう少し説明の仕方があるとは思うのですが、つい会計士・税理士の観点で書いてしまいますね)。

 で、それは今、一定の条件の下で解禁されているという話ですね。二人以上の税理士で税理士法人という組織(概ね会社法に規定されている合名会社に準じた組織です。他士業の類型も同様。合名会社に準じていることからその構成員をパートナーと呼ぶことがあります)を設立して、その法人が納税者と顧問契約を締結して税務業務の提供を行うことが出来るわけです。ちなみに弁護士法人の場合は弁護士一人でも設立出来るなど、各士業法人によってルールは区々のようです。また、公認会計士が五人以上集まって設立する監査法人というものは、規制緩和の波より遥かに前から制度上存在しました。これは公認会計士資格を有しないとできない業務、すなわち会計監査に従事することを主な目的とする法人です。大企業の会計監査は一人ではとてもできないため、士業の中では例外的に(当時)そういう仕組みが認められていたのです。しかし、仮にパートナーが全員“税理士登録もしている公認会計士“であっても、税務業務に従事するための法人にしたいのであれば、税理士法人として設立する必要があります。

  さて、私の話でした。林会計事務所は、現状、法人化しておりません。私は個人事業主としてスタッフ数名(今は3名)を雇用し、手伝ってもらっています。手伝ってもらっているのは主に税理士としての業務や、そもそも資格を必要としない記帳代行の部分です。でも、今後、経営の安定を維持確保していくことは、私自身、スタッフ、そして顧客の安心のために大事な課題です。その課題を解決(というよりリスク軽減)していくための一つの選択肢として・・・そう、規模の拡大や、法人化ということも視野に入れておかないといけないのでした。

 事業者(ひょっとして同業者)の皆さん、法人化はなさいましたか?法人化するかどうかの意思決定って、主に何を指標にしましたか?

 私自身の場合は、上述したように税理士法人には二人は税理士が必要なので、既存の税理士法人に合流、または個人事業主の税理士さんと一緒に法人設立、なんてことを考えるわけです。なので、主に考慮すべきは、①双方にメリットが期待できるかどうか、②スタッフの就労条件や環境の維持または向上が可能かどうか、③顧客に納得していただける内容か(例えば法人化後に統合した報酬体系により報酬引き上げをお願いしたのにサービスは低下したりするようでは拙い)、といったところになるのではないでしょうか。

 少し長くなりました。別稿で、一般の事業者さんが法人成りする場合のメリットについて、書いてみたいと思います。
 そこではあくまで会計士・税理士としての観点に絞って書きます。早い話が、税金面でどのようにお得か、という話を書こうってことです。

この記事を書いた人

公認会計士・税理士 林宗義