タイトルに挙げた「収益」「費用」「損失」という言葉は、会計の勉強を始めるとすぐに習うものですが、大体お分かりになりますか?つい先日、ネットサーフィンしていて、「収益が赤字となってしまった」という表現を見かけ、一瞬ギョッとしました。なぜ私がギョッとするのかピンと来ない方は、以下をちょっと読んでみてください。
よく私たちは「儲かった」あるいは「損した」ということを口にしますが、この「儲かる」ないし「損する」というのはどういう概念でしょうか。これはまあ、大体どなたも感覚的には分かるのだと思います。お金が増えた、減った。いや、お金に限りませんね、物でもいいでしょう、その「物」に価値があれば。お金や物などの、難しく言えば経済的価値のトータルが増えたか減ったかを、「儲かった」「損した」と言っているわけです。
ところで冒頭の収益、費用及び損失という言葉は、区切ったある期間内に、あるいは最終的に、通算で儲かった、ないしは損をしたという結論に至るまでの過程の一つ一つの動き、つまり売ったり買ったり(それ以外もありますが)の一つ一つの動きについて、経済的価値が増える方向の動きを「収益」、逆に減る方向の動きを「費用」ないしは「損失」と呼んでいるのです(ちなみに一つ一つの動き、というのを「取引」と呼びます。会計で言う取引はそういうことで、売り買いだけじゃなく、現金3円がどうしても多すぎて「雑収入」を計上するのも取引です。取引相手なんていなくても、です)。そして、収益の額から、費用及び損失の額を差し引いた結果が「利益」ですし、引ききれない、つまり収益の額より費用・損失の額が大きい場合には、費用・損失の額から収益の額を差し引いた結果が「損失」となります(※お気付きでしょうが、「損失」だけは過程の一取引にも差引の結果にも使われる、紛らわしい言葉なのです)。「費用」や「損失」については、また別項を設けて書こうと思いますが、とにかくまず、「収益」をはっきり意識してもらうことが本項の目的です。
※のところで、「損失」は紛らわしいと書きましたが、逆に、「収益」は割とはっきり「利益」とは区別して使われます。一番メジャーなところで、「売上(高)」こそが収益だ、と思ってもらってもいいでしょう。そして、100円で仕入れた商品を90円で売り上げたら、結果は10円の損失だ、ということにはなりますが、売上は(ということは収益は)90円です。 「収益性(が高い)」と言うときは通常利益が良く出る意味で使う、などという例外もありますが、会計の通常の用語ではこのように「収益」は「利益」とは切断して捉えるのが普通なのです。
私が「収益が赤字となってしまった」という文を読んでギョッとしたというのはそういうことです。収益それ自体は、そもそもプラスの要素のみを指しており、また差引く段階以前のものなので、収益に「赤字」つまりマイナスはあり得ない、という前提が染みついているからですね。
・・・え、ひょっとしてマイナス30円で売らはったん!?